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滝尻につく

滝尻につき、バスを降りる。
道路は整備されているものの、
深い山の中。
フードつきのレインコートに
かさをさして、バス停の横で
一人バスを待つ。
DSCN0212_convert_20090316210326.jpg
トトロのバス停シーンを思い出す。

道の向こうには川があって、
橋を渡った右手に変わった形の
木の建物があった。
DSCN0211_convert_20090316205853.jpg

*帰宅して調べたら、この建物は
熊野古道館だったらしい。

車が思ったより頻繁に通るものの、
そくそくと山の霊気が迫ってきて
バスは本当にくるのだろうか?
という心細い気持ちになってくる。
向かいに見えている山の木々から
次々に霧が吐き出されてくるようで、
寒さもしみてきた。

バスは少し遅れてやってきた。
乗り込むと、暖かさもあって、
ほっとした。思ったより人が
乗っていて、席を選んで座った。

バスは、かなりのスピードで
山の中の道路を走っていく。

通路をはさんでひとつ前の席には
杖と鈴を持った若い女の人がいた。
その人はバスの運転手さんに
いろいろ聞いて途中で降りた。
この雨の中を熊野古道
本宮大社まで歩いていくらしい。

私も熊野古道を少し歩こうかと
計画をたてかけていたのだが、
今回は山歩きのための、
足ならしをせずに旅行に
出てしまったのと、女一人で
歩いても大丈夫だろうか、
という懸念があったので、
やめたのだが、この女の人を見て
次の機会があったら、私も歩いて
みようか、と勇気づけられた。

そして、小栗判官よみがえりの湯、
つぼ湯で有名な湯の峰温泉、
西日本一の巨大露天風呂で有名な
渡良瀬温泉、
川自体が温泉になってしまう仙人風呂で
有名な川湯温泉と、
バスは本宮温泉郷をめぐって、
本宮大社前へとすべりこんだ。

*コマカイヘンシュウ、ノチニ ツヅク

テーマ : 聖地巡礼の旅
ジャンル : 旅行

JRバスの中で

見かけは、ばあちゃん。
でも、そう呼ぶには
ばあちゃんらしくない気を
持つ人だった。

バスの通路をはさんで横の席に
座っていたのだったか。
話しかけてきたのは、
ばあちゃんからだ。
地元にしか売ってなさそうな
梅干系の飴を私にくれて、
話しかけてきたのだ。

話の最後の方でわかったのだが、
ばあちゃんは、どうも、時々こうやって、
バスに乗ってくる旅行者をつかまえて、
おしゃべりを楽しんでいるらしかった。

一人暮しだとは言っていたが、
お墓に備える花を買っていたので、
守るべき先祖はいた。

今日は朝から早起きをして
医者に行くために出てきたのだという。
そして、そのあとに帳簿のチェックをしての
帰りだという。
その会社はばあちゃん自身が
起こした会社なのか、
つれあいが死んだので
引き継いだ会社なのかは
わからなかったが、どうやら若い事務員を
一人雇っていて、時々、要所要所は
ばあちゃんがチェックしているらしかった。
そして、その話しぶりからして
頭がきれて、人の使い方を
よくわかっている経営者のようだなと
私は思いながら聞いていた。

もしかしたら、と、私は勝手な想像を
めぐらせた。この街で、この年の女で、
会社経営なんて立場は浮いた存在
なのかもしれないな。
だから、時々、こうやって、旅行者を
つかまえて、話を聞いてもらって
ばあちゃんなりのバランスを
とっているのかもしれないと。

ばあちゃんは、更に、健康の話を
し出した。目が悪い、歯が悪い、
の話には、まあ、この年なら
どこかしら悪いところは
出てくるものだと思いながら
聞き流していると、
心臓と足も悪い、と言う。
どうやら、街に出てくるために
バス停まで歩いて行くのにも
途中で休憩を度々とりながら、
行っているという。

なんというのか、口が達者で
頭の回転もよくて、見た目には
病気のかけらも感じられなかったので、
ちょっとそれには驚いた。
そして、きっと、こういう感じの人だから、
病気もちでも、同情されることが
ほとんどなくて、たまには、誰かに
やさしい言葉をかけてほしいのかも
しれないなあ、と思った。
「それは大変ですね」
って、今の私みたいに。

ばあちゃんは、途中で
降りていった。

仕事をもっている年よりは
肉体的には衰えても、
精神的には若く強いのではないか、
と私は思った。

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ジャンル : 旅行

おいおい(汗)

まだ、熊野本宮大社にすら着かないよー。
えっ?
次には着くのではないかって?
それがまだまだ本宮大社までには
長い道のりがあるのでした。

そして、次には、また新たなる登場人物が現れるのです。。。

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助け舟、出る

駅前のバス停は、すぐに見つかった。
あきらめ悪くバス停の時刻表を見るも、
なんら状況はかわらず。

駅からバス停までの途中に、
龍神バスの窓口があった。
一縷の望みを抱いて、窓口の女の方に
9時25分発が行ってしまったか聞くと、
案の定、さきほど出たとのことだった。
答は、わかっているにの、次に本宮大社に
行くバスは?と、尋ねると、
やはり11時25分だと言う。
「2時間弱待ちですね」
思わずため息まじりの言葉がもれて、
私は、10時20分発のバスに乗って、
栗栖川で乗り換えれば、本宮大社まで
行けると勘違いしていた話をした。
すると、女の人が言ったのだ。
「ちょっとお待ちください」
顔をあげた女の人の目は
きらきらと輝いていた。
そして、時刻表を私に見せながら
説明し出した。
「10時20分発のJRバスに乗って終点
ひとつ前の滝尻で降りれば、11時1分。
そこに、11時13分に来る明交バスに
乗れば、12時に本宮大社に着くはずですよ」
「明交バスは、たしか、紀伊田辺からは
出ていないはずですが・・・」
「このバスは、紀伊田辺からは出ずに、
白浜から出ているんです。
で、本宮大社前経由で新宮へと
向かうバスなんです」
!!!
そのバスの存在は知っていたが、
まさか、乗り継ぎに使えるとは
思っていなかったので、
時刻表を調べてきていなかったのだ。
すごい!!
「私、こちらにうかがう前にインターネットで
いろいろ調べたんですよ。ああ、でも、やはり、
現地に来ないとわからないことってあるんですねー」
私は思わず言った。
「本当にありがとうございます。助かりました」
私は何度もお礼を言った。
しかも、この女の方は、龍神バスの窓口の方なのに、
JRバスと明交バスを使った本宮大社前行きの
方法を教えてくださったのだった。
私は心の中で手をあわせた。
こういう仕事をなさる方が私は好きだった。
自分もこうありたいものだと思った。

10時20分発のJRバスに乗りこんだ私は
窓辺に座った。発車の瞬間に龍神バス窓口に
向かってお辞儀をすると、女の方は、うなずくように
一礼を返してくださった。。。

本当にありがとうございました。

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計画の穴にきづく

予定では、紀伊田辺駅前から10時20分発のJRバスに乗り、
栗栖川に11時7分に着き、11時15分発の龍神バスに乗り換える
つもりであった。
しかし、その11時15分発の龍神バスは、よく見ると、
本宮大社前jまでは行かず、ずっと手前の高尾隧道が
終点だったのである。

時刻表を2ページにわたって印刷したため、
2ページ目の下の部分を見おとしていたのだった。

となると、次に本宮大社前まで行くバスは、
11時25分に出る龍神バス古道1号である。
列車が紀伊田辺に着くのは9時38分。
11時25分まで、実に2時間弱。
早く本宮大社に着きたいと、
気持ちがはやっている身には
ちょっとつらい待ち時間である。

その前の本宮大社前行きのバスは、と、
ためしに見てみれば、おしくも、
9時25分発であった。

昼食をとるには、早すぎる時間。
ちょうどよいころあいは、バスが出る時間。
荷物を軽くするために、紀伊田辺駅周辺の
ガイド情報なぞは、持参していない。

どうしたものか。

まるで、私の気持ちに呼応するように
ぽつぽつと雨が降り出してきた。

列車は紀伊田辺に到着。
駅舎を出ると、雨は小雨ではなく、
たしかな雨へとかわっていった。。。

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Author:fuuryu
福岡生まれ福岡育ち。
旅は、ひとりが多いです。

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